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●『Gilbert Nouno lecture + concert』
〜Max/MSP, Jitter workshop extra series vol.2〜

日時:2007年12月2日
会場/主催/企画:AD&A gallery

コンサート出演:
Girbert Nouno (computer, Lemur)
Haco (vocal, electronics) + 田尻麻里子 (video)

情報ページ:http://www.adanda.jp/workshop/maxmsp/extra02.html
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大阪、肥後橋のAD&Aギャラリー1Fでは、Girbert Nouno (ジルベール・ヌノ) の展覧会「Etchings」(11/30-12/5)が開催されていました。写真をもとに、加工することによって印象づける線をとらえたという作品。デジタルとアナログの世界を精妙に組み合わせる、というのがGirbertさんの作品コンセプトのひとつになっているようです。彼はヴィラ九条山のレジダンスアーティストとして日本に滞在中。名刺には「娚能 時流辺」というシブい漢字名も記されていました。そんな彼の銅版画が、クリップで簡素に留められ展示されているギャラリー空間。格別な雰囲気の中でイベントが始まりました。

4時からGirbert さんのレクチャー。聞き手と通訳はアーティストの古舘健さん (このギャラリーでシリーズ化されているMax/MSP, Jitterワークショップの講師) です。
ヌノ氏はパリのIRCAMの研究員であり、長年Maxを用いて作曲すると共に、ジャズのミュージシャンとして即興演奏も繰り広げておられます。作曲や楽器としての膨大な量のアイディアが詰まっている彼のパッチがスクリーンに映され、使用例を解説していただく。そのパッチは精密で美しく、(田尻さん曰く「まるでゴブリン織りのよう」)、氏の几帳面さにひれ伏す思いがしました。Maxパッチは使い手の美意識がグラフィカルに表れるのも特徴ですね。
さてさて、本日の目玉というべきか、マルチタッチ・スクリーン・インターフェース Lemur (レミュー) に話題が移されました。日本でも発売開始されたばかりで、コンピュータのソフトを外部からコントロールする上で新しい可能性を感じさせる機器。彼は開発初期からモニタリングで関わっているそうです。5本の指で別々のコントロール操作ができるんですよね、、などとお話しの途中でLemurの画面が暴走。勝手にすべてのファンクションがぐるぐる動きまくって、生き物みたい!(MIDI情報のオーバーフローなのでは? とわたしは憶測していましたが..)。「こんなことがあっても、いったん電源を切ると元通りになるんですよね」、と彼はいささかも慌てる様子はありません。
Lemurは、配色がフランス製だけあって洒落ているな〜、と思いました。高価な製品なのでわたしにはとても手がでませんが.. 見物できて愉しかった。


nouno.lecture1.jpgmouno.lecture2.jpgvisual.lemur.jpg


6時からは、コンサートの部です。Girbertさんのオーディオ・ヴィジュアルなパフォーマンス。スクリーンに白黒映画とJitter処理のプログラムを掛け合わせた映像が流れた。出音とインタラクティヴに幾何学的なパターンがチカチカする動き。この映像操作を急遽、古舘さんが担当されました。ヌノ氏のラップトップから奏でられるアンビエントな電子音の微妙な変化。Lemurはあまり派手には触られていなかったけれど、なにかIRCAMの伝統のようなものを朧に感じさせました。わたしの耳と目はアンテナのようになり、40分間ぽ〜っと受信状態にホールドされていた。



7時にて、田尻麻里子さんとわたしのコラボ・パフォーマンス。
今回の演奏はアルバム「RISKA」からの歌とエレクトロクス曲で構成しました。企画をされた古舘さんに「じつはAbleton Liveでプログラミングしているので、Max遣いではないんですけどね」ってお伝えしておいたら、「こんどの組み合わせではむしろその方が好ましい」ということで、呼んでいただけることになったんです。
田尻さんは近年取り組んでいるライヴカメラの手法を展開。机上に置かれたミニモニターの仕込み映像をさらにビデオ・カメラで撮影したり、レンズの前で植物、スポイドの水滴、スパンコール、半透明の板などの小道具を用いた手元のパフォーマンスが直にスクリーンに映し出される。水中で撮影されたという波紋や魚の群れ、緩やかにうつろい生成されるイメージ。
サウンドの方も快調で、すごく気持ちよく演奏させてもらいました!
唯一最後の「Magnetic Field of Riska」っていうフィールドレコーディングを組み合わせた曲の途中、携帯電話の電磁波のクリック音がうまく拾えなかったり、ヘッドセットマイクで声をキャプチャーする際にハウったりしたんだけど (PAスピーカーが近かったせいで、本当にスピーカーコイルで"磁界"ができちゃってたんですね:笑) 、そういうハプニングも自分にとってかえって勉強になったくらい。
田尻さんのオーガニックなヴィジュアルと絡めたことが一番。それとギャラリーの素敵な環境のもとでライヴさせてもらえた喜びは大きい。

visual.water1.jpgmariko.performance1.jpg


演奏終了後、いろいろとお客さんにも声をかけられて嬉しかったです。「2人の相乗交換でvery very good!」とGirbertさんもにっこり。
打ち上げは、古舘さんやギャラリーのスタッフの方々に近くのレストランに連れていってもらい、あつあつのトマト鍋を囲みました。美と健康を研けそうな味、サイコー!遠方からライヴを見に来てくださったYuko Nexus6さんも一緒にわいわい盛りあがりました。



AD&Aギャラリーでは、アートとテクノロジーの結びつきを推進するような興味深い展覧会&イベントが目尻押し。
じつは、今夏のMax/MSP, Jitter ワークショップをここで田尻さんと一緒に受講したんですよね。どんな好奇心でも経験でも、つながっていくもんだな〜、と実感しています。
haco.up1.jpg



(写真提供 & 撮影 by Masaru Aoyama)
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HACO
歌手作曲家、プロデューサー、サウンドアーティストとして精力的に活動中。
元アフターディナー、ホアヒオ、ヴューマスターズ(現音採集観察学会)を主宰。
隔月刊ニュースレター配信中。

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