12月4日、ヴューマスターズ(現音採集観察学会)2005のワークショップでは、7名の提出者から集まった40件にのぼる音源レポートが発表されました。採集者による録音物を聴きながら、プロジェクターで映しだされた音のタイトル、日時場所、写真、文章を皆で鑑賞します。これらの記録や表現が一体となってアートとしての作品ライブラリーになります。コメンテーターは例年どおり、Haco、Yuko Nexus6、小島剛に加え、音楽家の松前公高氏に今回ゲストとしてお出でいただきました。この四年間のワークショップで毎年作品を出し続けている人も含め、全員がリピーターときていますからたいへんな激戦です。会場の大阪築港赤レンガ倉庫は、地元はもとより、仙台からの参加者や、愛知、奈良など遠方から見学にみえた人々でにぎわいました。今年の傾向として、各自がすでに音は何かをうつしだす「鏡」だという感触をもっており、その何かを「ヴューマスター」的語法を通じて世に放っているのだなと考えられました。言い換えれば、先にヴューマスターズありきではなく、個人としての「耳」の感性ありきなのです。
多数の音件が並ぶ作品群の中からいくつかを紹介させていただきます。
『Screaming Whisper』
空き地に放置されていた20m程の下水管に顔をつっこみ、ほえてみたというサウンド・スポッティング。
『雨の日の早起きvol.1〜3』
自宅のベランダから始まり、マンションの屋上に登って排水管の中に水琴窟のような音を発見し、さらに風が強くなってきたのでマイクをペットボトルに入れたらパチパチと計算外の音が拾えた、という雨音だけで心理的な変化も描いた三部作。
『追憶 - そこでなくてここなのか -』
建築工事中の隣ビルに左右囲まれた自宅マンションの屋上から、同じレベルで毎日録音された音源を編集(フレーミング)。日記的に16時間録りだめした記録を凝縮し、つなぐことによって空気感や工事現場の反響、住人の気配が切りかわる詩的音響ドキュメンタリー。
『日常を刻んでます』
ミシンと向き合いカセットで録音。「たんたんと刻まれる音は、心地よくもあり、日々の生活、日常に似ているな」(作者文)。
『objectの耳となる:recordings for the stethophone』
聴診器(stethoscope)に骨伝導マイク(microphone)を装着することによって音を捉える。街中にある様々な物体(object)はどんな振動を捉え、どんな音を聴いているのだろうか? というコンセプトの基に自ら考案したstethophone(ステソフォン)によって、それら物体の振動を音声として録音したもの(作者文)。
『北海道の鈴木昭男』
アイヌ資料館に行った際、旗揚げの金属製のポールに紐が当たり音が発しているのを見つけ録音。聞き返すと、いつか観た鈴木氏の演奏を想起させたとのこと。
『プラハ中央駅』
よくあるタイプのヨーロッパの駅構内の反響だが、まったく何を言っているのかわからないのでそのリバーヴ効果をやっぱり人にも聴いてほしいと思った(作者文)。
その他にも秀作ぞろいの音観察ライブラリーを聴くにつれ感心するばかりです。コメンテーターの4人も観客もぞんぶんに楽しみました。終了後、「人によって、作風が違うのも、おもしろいですね!」と松前さんの感想。Yukoさんは、「わたしミシンの音で踊れそう、一緒に環境音DJしましょう」と声をかけました。小島さんは、「本当に各人の個性があってどれも良い作品ばかりでした。 どの人もマスターぶりを発揮していたと思います。 それにしても"気配"。 年代を追って作品の傾向が変わってくる人もいるし、変わらない人もいる。その結果、この言葉が様々な名作を残した2002-2005年のView Mastersが到達した一つの考え方というか、音の世界というか、関わってきた僕にはぐっときますね」と記しました。
わたしは 「View Masters」自体が参加者によって成長させられたと思っています。 大阪築港赤レンガ倉庫を会場にした四年間のシリーズイベントは完了しましたが、ヴューマスターズ自体は、個々のライフワークとしての音観察ライブラリー、アートプログラミング・プロジェクトとして継続します。来年に向けてはドキュメントを制作する予定です。 また、海外交流やインターネットを介しての展開も考案中です。 ご協力いただいた参加者、出演者、赤レンガ倉庫のアーツアポリアの皆さまに心から感謝いたします。 今後もどうぞよろしくおつき合いくださいね。
多数の音件が並ぶ作品群の中からいくつかを紹介させていただきます。
『Screaming Whisper』
空き地に放置されていた20m程の下水管に顔をつっこみ、ほえてみたというサウンド・スポッティング。
『雨の日の早起きvol.1〜3』
自宅のベランダから始まり、マンションの屋上に登って排水管の中に水琴窟のような音を発見し、さらに風が強くなってきたのでマイクをペットボトルに入れたらパチパチと計算外の音が拾えた、という雨音だけで心理的な変化も描いた三部作。
『追憶 - そこでなくてここなのか -』
建築工事中の隣ビルに左右囲まれた自宅マンションの屋上から、同じレベルで毎日録音された音源を編集(フレーミング)。日記的に16時間録りだめした記録を凝縮し、つなぐことによって空気感や工事現場の反響、住人の気配が切りかわる詩的音響ドキュメンタリー。
『日常を刻んでます』
ミシンと向き合いカセットで録音。「たんたんと刻まれる音は、心地よくもあり、日々の生活、日常に似ているな」(作者文)。
『objectの耳となる:recordings for the stethophone』
聴診器(stethoscope)に骨伝導マイク(microphone)を装着することによって音を捉える。街中にある様々な物体(object)はどんな振動を捉え、どんな音を聴いているのだろうか? というコンセプトの基に自ら考案したstethophone(ステソフォン)によって、それら物体の振動を音声として録音したもの(作者文)。
『北海道の鈴木昭男』
アイヌ資料館に行った際、旗揚げの金属製のポールに紐が当たり音が発しているのを見つけ録音。聞き返すと、いつか観た鈴木氏の演奏を想起させたとのこと。
『プラハ中央駅』
よくあるタイプのヨーロッパの駅構内の反響だが、まったく何を言っているのかわからないのでそのリバーヴ効果をやっぱり人にも聴いてほしいと思った(作者文)。
その他にも秀作ぞろいの音観察ライブラリーを聴くにつれ感心するばかりです。コメンテーターの4人も観客もぞんぶんに楽しみました。終了後、「人によって、作風が違うのも、おもしろいですね!」と松前さんの感想。Yukoさんは、「わたしミシンの音で踊れそう、一緒に環境音DJしましょう」と声をかけました。小島さんは、「本当に各人の個性があってどれも良い作品ばかりでした。 どの人もマスターぶりを発揮していたと思います。 それにしても"気配"。 年代を追って作品の傾向が変わってくる人もいるし、変わらない人もいる。その結果、この言葉が様々な名作を残した2002-2005年のView Mastersが到達した一つの考え方というか、音の世界というか、関わってきた僕にはぐっときますね」と記しました。
わたしは 「View Masters」自体が参加者によって成長させられたと思っています。 大阪築港赤レンガ倉庫を会場にした四年間のシリーズイベントは完了しましたが、ヴューマスターズ自体は、個々のライフワークとしての音観察ライブラリー、アートプログラミング・プロジェクトとして継続します。来年に向けてはドキュメントを制作する予定です。 また、海外交流やインターネットを介しての展開も考案中です。 ご協力いただいた参加者、出演者、赤レンガ倉庫のアーツアポリアの皆さまに心から感謝いたします。 今後もどうぞよろしくおつき合いくださいね。
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HACO
HP:HACOHACO.NET
歌手作曲家、プロデューサー、サウンドアーティストとして精力的に活動中。
元アフターディナー、ホアヒオ、ヴューマスターズ(現音採集観察学会)を主宰。
隔月刊ニュースレター配信中。
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