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日豪交流ダンスイベント、『Australia-Japan dance Exchange 2006』が二国間で展開されています。
その一環として、振付家ルーシー・ギャレンのプロジェクト作品で、わたしは音楽づくりで参加しました。
『LUCY/KOTA Project』は、ルーシー・ギャレンが日本人ダンサーへ、山崎広太がオーストラリア人ダンサーへ、互いに振付をする2つの作品の製作。
京都、山口、メルボルン国際アートフェスティバルで公演。

AJDX■■オーストラリア-日本 ダンスエクスチェンジ 2006■■
日豪友好協力基本条約30周年記念 文化庁 平成18年度国際芸術交流支援事業・二国間交流

「Setting」
振付・構成・演出:Lucy Guerin
出演:赤松美智代、森井淳
作曲・演奏:Haco
通訳/セットレイアウト:櫻井夢子

「Chamisa 4C℃」
振付・構成・演出:山崎広太
出演:Phoebe Robinson、Lee Serle、Nick Sommerville、Joanne White
照明・舞台美術:Ben Cobham
作曲:管谷昌弘


AJDX全体の情報はNPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)ページで公開中です↓
http://www.jcdn.org/ajdx/


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今夏、振付家ルーシー・ギャレンさん、ダンサー赤松美智代さん(略称ミチ)と森井淳さん(略称ジュン)、通訳/セットレイアウトの櫻井夢子さん(略称ユメコ)との共同製作の日々。新しいダンス作品が生みだされる現場から、ひとりの音楽家の視線で綴ってみました。


kyoto center.JPG
7月24日、オーストラリアから来日したルーシーと2人のダンサー、松山出身のミチ、大阪在住のジュンに初対面。ルーシーは昨年に日本で3日間ワークショップをし、オーディションでこの2人を選んだそうです。京都芸術センターのスタジオにて、通訳のユメコさんをはじめ、企画・制作・日本側コーディネートのJCDNの主要メンバーと一緒に日程についてのミーティング。どんな作品ができるのだろうか、気持ちがひきしまる。
そのあと近所で歓迎夕食会となる。みな気さくでうちとけやすい、和製英語も飛び交い、初っぱなからいい雰囲気。

7月25日、ルーシーの作品「Setting」は、まず2人のダンサーに出会いがしら的なインタビューをすることから始まる。そこから振付けや音楽や舞台装置になる中身が創られていく。さっそく、ダンス・スタジオで初日インタビューの開始。ルーシーは、一人ずつにありふれた日常的な質問をしたり、幼少の想い出や経験談などを聞き出します。ゆめこさんの通訳も交えて、それらの話し声をわたしはDATと手持ちマイクで録音。室内残響や窓の外の雑音など、かなり背景の音も拾うことになってしまった。ジュンもミチも自称楽観主義、個性的で、気配りがあって、ダンサーである以前に魅力的な人物なんだな。

7月26日、インタビューのつづき。本日は防音室に移動して、2人を個別にインタビューする。英米に留学したこともあって英会話が達者なジュン、ユメコの通訳付きで日本語で受け答えをするミチ。双方の記憶をたどるしゃべり口は抑揚があってじつに味がある。DATのテープは3時間を超える長々としたものになった。
ルーシーは肢体を動かせながら「シュッ、シュー」と声をだして、ダンサーに振付を伝えていく。3人の小気味よいテンポを見てさすがにレベルが高いわと感心。わたしはノートパソコンで作業をしながら、ちらちらと様子をうかがい流れをつかもつとする。

7月27日、「使いたいと思う箇所を抜きだしたんだけど」とルーシーがA4紙で14枚くらいを持ってきた。昨夜、全インタビューを記録したビデオを観て、テープ起こしをしたらしい。メルボルンから猛暑の京都に着いて日も浅く疲れているだろうに、師の勤勉さに頭がさがります。ほんとうにここに来て一から作っていくのですね。
昼過ぎに、音響担当のオオクボさんと本番用のPA機材の打ち合わせ。4チャンネル・サラウンドで音楽制作したいとの旨を伝えたら、「ぜひやってくださいよ」とのOKがでた。4CHのプログラムははじめてだけど、がんばろう。
インタビューの会話のなかで出てきた"物"をリストにして、ルーシーとユメコは買い出しに。それらの"物"たちはダンスと同時進行で舞台上に並べられていくという設定、まさにSetting。

7月28日、どうやら9つくらいのセクションをつなげていく作品になりそう。音楽も各章に添って組曲にする方向。しかし、入れ込みたいという言葉の多さには驚く。だってルーシーの前作が、スキンヘッドの女性ダンサーをキャスティングしたり、音楽も極めてデジタルなかんじの未来系だっただけに、予想していたものとは大違い。抽象的な表現でいきたかったけれど、かなり具体的な言葉の扱いと、意味的に共存できるサウンドを今回のコンセプトでは必要とされている。
ルーシーの視線はスタジオの窓側と机上の自分のノートを往復している。それぞれの場面を想定して、振りがひらめいたら、さっそくダンサーとワークをしてみる。"テクノノロジー"の章のモンスターのような動きを見ていて、なんとなくぱっと合いそうな曲素材があったので、CDRに焼いて渡しました。

7月29日、ルーシーによって構成がしぼられてきたので、言葉のテキストは4枚となった。曲づくりのために効果的な音素材をできるかぎり集めることにしよう。
2人のダンサーそれぞれが話している時の仕草をビデオカメラで撮って、その動作をお互いにまねるという振付の手法には、目からうろこでした。発想が自由。コンテンポラリー(ダンス)は、踊ること以前に現代アートとして表現することもできるんですね。ルーシーは、「ふだんどういう自分の踊りをやっているの?」とか、「結婚式には何を着たの?」とか、ミチに訊いて実際に動きでやってみさせる。ダンサー自身のキャリヤや個人的なくせやバックボーンも、ひきだしていきます。
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HACO
歌手作曲家、プロデューサー、サウンドアーティストとして精力的に活動中。
元アフターディナー、ホアヒオ、ヴューマスターズ(現音採集観察学会)を主宰。
隔月刊ニュースレター配信中。

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