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2006年のFBI(12月8日〜10日: 大阪Bridge)は、通しで鑑賞できなかったのですが、写真をもとにピンポイントで振り返ってみましょう。



●12月8日
yamamoto unit.jpgFOUNDATION(山本精一ニューグループ) - 「今からビートルズのカバーやりますので、リクエストください」という、山本さんの意味シンな呼びかけで始まったコンサート。ところがメンバーは、梅田哲也(音器)、江崎將史(トランペット)、稲田誠(コントラバス)、ドラムの人のお名前を失念、すみません)、で微音系の緊張感ある演奏。ちなみに江崎さんは「武満徹のカバーをするから」、といって誘われたらしいですから、けっさくですね。山本さんのギターも静寂を思わせる、竹林を揺らす風のような印象でした。


●12月9日
umeda.t.jpg
梅田哲也さんのソロ - ファン・オーケストラのインスタレーション。複数の扇風機を使ってコンタクト・マイク、筒、小型スピーカー、鉄線、風船などで相互に作用する装置が組上がった。オーディエンスは自由に作品を取り囲みながら鑑賞。もうすこし時間があれば、じっくり作品を味わえたのにな、とちょっと惜しい気がしました。またの機会にぜひ! この日は、ブラジルとかPOPOとか、大好きなバンドの出演もあって、客として盛りあがりました。また、ヨシミちゃんやカールさん、サムさん&はるなさん、サンディエゴからのマルコやハンスにも一年ぶりに会えて嬉しい、フレンドリーきわまる夜でした。


●12月10日
trio.jpg森本アリ+小島剛+砂十島NANI - 途中でドラム・セットをバラで3人とも叩きはじめ、肩を抱き合いくるくる廻る、という音楽をこえた男の友情ドラマみたいなもんがステージで繰り広げられました。

Haco+Tim Olive+西川文章 - まっ昼間の3時に出番です。以前から、ティムさんと西川さんのギター&オブジェの音響デュオとは共演したいと考えていて、組み合わせのリクエストをしたら実現したトリオです。わたしは、カオス・パッドにヘッドセット、トモミン、ミニ・シンセなどを使用。擦り声や吐息のような微細な音をリアルタイムでサンプルしいじっていました。カオス・パッドは新型を入手したばかりで、この日初めてライヴに用いてみました。新型の音色はコンピュータのプラグインぽい音になっていて、自分としてはいまいち。グラニュラー処理がなされていて、旧型にはできない技や、4系統のサンプルが記録できるところは、利点です。トリオは誰が誰の音かわからないほど、音の抽象画のように混ざり合っていて、狙っていたかんじは出たのではないかと思います。窓から差す逆光が明るすぎて、ちょっと演奏しづらいところもありましたけど、フェスティバルらしくてそれも味わいがありますね。

dakibin.jpgアキビンオオケストラ - ステージ裏で聴いていました。多人数で空き瓶を吹くのですが、リズムなどの楽曲的なアプローチではなく、地味にワン・トーンを重ねてうなりを出したり、弱音のしぶい演奏でした。遠くの汽笛のように、また環境音のなかの共鳴のようにもようにもかんじられました。写真はコンサート終了後にマイ・ボトルをかたづけて退出する様子。





dale.jpgDale Berning+内橋和久+西川文章 - ロンドンのサウンドアーティスト、デイルさんが初出演。彼女は床置きした様々な小物たちを両手で掴んだり、振ったりしながら、マイクに極度に近づけて演奏していました。微細な振動が増幅され、オーディエンスも音自体に集中していくようでした。ダクソフォンの内橋さん、ギターの西川さんの繊細な対応もよくバランスがとれていました。



この日は、セッションでもバリバリの名演が多く、Gianni Gebbia+岩田江+井上智士の管トリオも鮮やかでしたし、Roger Turner(ドラム)+千野秀一(ピアノ)はほんとうに力と技とパッションを見せつけた奇跡のような即興デュオ。skist(サム・ベネット:Eパーカッション&いとうはるな:ボーカル)+内橋和久(ギター)も初共演とは思えない、がっちりしたアンサンブルでオーディエンスを魅了しました。


見逃したプログラムもあり残念でしたが、やはりFBIは強力でした。連日の大入り満場でしたし。ここから個性的で優れた地元バンドが生まれ、組み合わせの音楽の妙を堪能し、スタッフが育ち、オーディエンスの耳が鍛えられ、熟成したフェスティバルが新世界にあり。来年が最終回になるかもしれない、ということですが、存続を祈ります!
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HACO
歌手作曲家、プロデューサー、サウンドアーティストとして精力的に活動中。
元アフターディナー、ホアヒオ、ヴューマスターズ(現音採集観察学会)を主宰。
隔月刊ニュースレター配信中。

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