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★「RISKA」レコ発イベント【大阪/東京】のまとめレポートです
- ミニライヴ、映像作品、トーク、展覧会 -

●松井智惠展 「ALLEGORICAL VESSSELS -HEIDI 47- pictures」
会期:2007年4月17日〜5月19日
会場:大阪MEM

mem_dm.jpg"新譜RISKAのために制作された平面作品を中心に油彩、素描を展示"ということで、初日5時からのレセプションにドキドキしながら伺いました。画廊MEMの入っている大正11年に建てられた文化財の新井ビルの階段を登っていく。2003年の映像作品「HIMARAYA」では、松井氏自身がこの階段を1階から4階まで這ってのぼり、仰向けになっておりる動きを真上から撮影。「小幅で急な階段でどうしてあんなことができようか、根性と体力に脱帽、やっぱり松井智惠はスゴイ」と実感。
最上階のギャラリーの扉を開けると、ご本人がいちばんに迎えてくださいました。
淡い暖色系の色調の水彩&ペン画や大判の油絵が連作のように展示されていました。「RISKA」のジャケで象徴的に使われている黄色は、これまでの彼女の絵にはあまり登場しなかった色なのだという。まるで日常を鏡のように光照らし、むこうの世界に溶かしこんでいくような、そんな何か。紙ジャケットの原画と対峙すると、産み出された過程を知っているだけに、拝みたくなるほど感動しました。卓上のモニターでは新作の短い映像もさりげなくプリゼントされていました。
MEMの石田氏が「ステキなCDですね、パーティーのあいだ小さい音量でRISKAを流していいですか?」とおっしゃった。彼はニューヨークに仕事で行かれていたばかりで、ダウンタウン・シーンの音楽家周辺に詳しいので驚きました。
知り合いの作家さんや美術関係の人々もぞくぞくと閲覧に来られていました。彼女の新作の絵にとり囲まれしばし至福の時を過ごしました。

●「松井智恵 x HACO ミニライブ + トーク & バー*ダビデ」
日時:5月19日
会場:大阪remo

matsuichie.jpg「松井智恵・映像作品 2000-2007上映会」5/5〜5/ 20 (open: 金・土・日曜日)の、クロージング・パーティーを兼ねたレコ発イベント。初期から新作までの映像作品がスクリーンや各モニターにて上映された空間は、いくつもの次元へと開かれた窓をのぞき込むような感覚にさせてくれる。彼女の堂々たる映像回顧展といえます。

7時からのイベントの前から早くも大勢の人々が集まってきました。音楽と美術の両ジャンルにまたがり客層が広く熱気を感じました。

幕開けは、松井作品の最新作。つま先立ちの足のみを映し、ハイヒールの音を重ねた映像。裸足で階段を降りるとコツコツという響きが影のように追いかけていくのが美しい。記憶のゆらぎ。

7分の映像に見とれていると自分の出番となり、ちょっと慌ててラップトップを立ち上げる。わたしのソロ演奏の時に背後スクリーンに流したのは、ビデオ作家の田尻麻里子さんとの共作「Howling Rose」 (2003年のフェスティバル"Woman's Performance Art Osaka"参加)で、自分のハウリング・ポット演奏と田尻さんのカメラワークによるライヴ映像作品。
スポットは間接光なのでふだんよりちょっと薄暗くて雰囲気がいい。つぶやきのような声で歌いながら、アルバム曲をリミックス、即興バージョンで5曲進行していく。左手ではカオスパッドで声にエフェクトをかけたりサンプリングしたり。「リスカの磁界」という曲に「リスカ」本体で奏されたコントラバスのトラックが侵入してくるライヴ・バージョン。終盤の声はリアルタイムでサンプリングし、重なりながら切り刻まれていくプロセッシングを実際に行う。ミニライヴのつもりが、40分は軽く越えていた。

休憩時間にも松井作品群が鑑賞できる。大スクリーンでは、ノコギリで髪の毛を切る近作「HEIDI-46 "HAIR"」が流れている。

司会の雨森さん(remoスタッフ)にも同席していただき、松井XHacoでフリートーク。2人の出会い、「RISKA」をめぐってのコラボレーションの過程、お互いの活動についてや感想など、友人たちも客席に多かったのでリラックスして地元色もでた。きっかけについては、「『一度もデートをしなかった』という美術本で、それを手にしながら次のアルバム・ジャケットはぜひ松井智惠さんにお願いしたいと思って、だめもとで打診したんです」とわたし。
デモが渡ってからは、「小さなスピーカーでなんどもアルバムに耳を傾けながら眠りについた」という、智惠さん。「『顔のないわたしを..』という歌詞の部分で不覚にも涙してしまったんですね」、「『なかなか描けないのよ』と知人に漏らしていたら、そのフニャフニャな気持ちをそのまま絵にすればいいのよ」とアドバイスを受けた、というエピソードが作家の口から聞けて、とてもよかったのではないかと思います。

さいごに「HEIDI-47 " PIANO "」の上映で終了。

remoの綿密で手際の良いスタッフたち、企画協力いただいたMEM、会場に足を運んでくださったフレンドリーな皆さんのおかげで、いいコラボ記念イベントとなりました。また、美術系の知人でひさびさに、もしくは初めてわたしのライヴを聴かれた方々もけっこういらっしゃる。「わたし好み!」と言って興奮ぎみに即CDを買ってくださったのにはびっくり。いやもう感謝の気持ちでいっぱいです。


●『HACO×松井智惠』
[ミニライブ] + [映像作品] + [トーク]
日時:6月16日
会場:UPLINK FACTORY

会場併設のギャラリーでは松井智惠展『寓意の入れもの ー AN ALLEGORICAL VESSEL』が6/6〜 6/18開催されていました。大阪での油彩は大きくて入らなかったので、ホログラム箔押しの作品を出品したということでした。ガラスケースのなかできらめいて綺麗。「ちょっとプログレだし」と智惠さんはにやり。あと水彩、インク等。これまでの映像作品もモニターで見れるようになっていた。作戦練ってますねぇ、場所によってガラっと展示の雰囲気を変えられる柔軟性、バリエーションの多様さにも力量を感じます。

白昼3時すぎにスタート。最初に上映した松井作品は、覆面をしたバイオリン弾きとありもしない異国語のような鼻歌が物語性をかもしだす「HEIDI-46 "BRICK HOUSE"」。双方の出会いの場所でもある大阪築港赤レンガ倉庫にて撮影された作品。つづいて、大阪イベント同じく「HEIDI-47 "SHOE"」がはじまり、つま先を上げた映像とともに空気がぴんと張りつめてくる緊張感。





uplink_haco1.jpgupllink.kaosss.jpguplink_haco2.jpg


この会場はシアター形式で、小さいながら段差のある客席がきっちり並べられている。オーディエンスがじっくり耳を傾けている様子が伝わってきます。生歌もエレクトロニクスもくっきり。「シャワー・アロン」は即興リミックスの度合いが強く、サイズも気分で伸び縮みするのが自分でおもしろい。全体的になるべく歌とともにオーガニックな演奏ができるようプログラミングしている。瞬発技も入るので小さなハプニングはつきものだが、それを歓迎しているところもあります。「チャット・ナイト」のライヴ・バージョンは、コンピュータ・キーを叩いて、キーの打音そのものや、Skypeのおしゃべりの断片のサンプリングを鳴らす。「ノー・エンヴィ、ノー・ミーンネス」もアルバムとはずいぶんと違う開放的なアレンジになっています。終わってにっこり。



休憩をはさんで、トークの時間。uplink.kanpaii.jpg司会はディスクユニオン新宿プログレッシヴ・ロック館の山崎さんがをつとめてくださいました。
松井xHaco 2人の関西人対談は、「RISKA」リリースと東京イベント&展覧会の祝杯からスタート。「同じ曲なのに大阪とはまた演奏のやり方を変えられますね」と彼女に見抜かれ、「今日はマウスがつるつる滑ってやるにくかったんですが」とわたしが発言すると、場内から笑いが。「ラップトップだけど歌いながら次どうしようかなとか、毎回ちがってくるんです」。「自分でプロデュース作業したり、いろんな役割をしているのはどういう感じなんでしょう?」と智惠さんに訊かれたわたしは、「RISKA」という架空の人物を設定して、いったん突き放してその空間と対峙したこと、自己分離しそうでしんどさもあったこと、なんかを説明しました。流れにまかせて、あっというまの時間。
観客からの質疑応答では、「松井さんの映像で音が合ってないのがおもしろいんですが」という問いに対して、「ズレてるものが好きで、興味があるんですよ」と智惠さん。「あのケータイの音は打ちこんだものをマイクで拾っているんですか?」という質問がなんとPAエンジニアの方から。わたしはこう答えました。(「リスカの磁界」では)携帯電話の電子回路から発する電磁波を拾っていて、「リスカ」の旋律を着メロとしてあらかじめ打ち込み、それを磁気的にピックアップしている、と。

おしまいは大阪と同じく、オオカミ少女のように本能的にアップライトのピアノを叩きまくり、階段を堕ちていく映像作品「PIANO」で幕を閉じました。

めでたく終演。
暖かく大拍手を贈ってくださった会場の皆さま、ほんとうにどうもありがとうございました!
アップリンクの倉持氏をはじめスタッフの方にはセッティングなどでたいへんお世話になりました。主催してくださったディスクユニオンの面々もこの日に勢揃いして、いろいろとご協力いただいたこと深く感謝いたします。

「また東京にやって来て下さいね」と喜んで声をかけてくださったファン、友だち、関係者の皆さん。にこやかに迎えてくださり、それがサイコーに嬉しく励みになりました。自分はもっとフットワーク軽くしてちょくちょく上京せねば、と肝に命じました。
(上記ライヴ写真4点:桑原智章さん撮影のものをご提供いただきました)

こうやってまとめて書いてみると、「RISKA」のコラボレーションをめぐる2人の作家の貴重なドキュメントにもなりました。
何よりも、松井智惠さん。ありがとうございました、そしてお疲れさまでした。またこんど何とはなしに飲みましょうね。
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HACO
歌手作曲家、プロデューサー、サウンドアーティストとして精力的に活動中。
元アフターディナー、ホアヒオ、ヴューマスターズ(現音採集観察学会)を主宰。
隔月刊ニュースレター配信中。

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