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パリから飛行機でイングランドの北西部へ移動。マンチェスター空港から直結した列車に乗り約2時間でカンブリア州のバロー・イン・ファーネスに到着。10月下旬の約2週間は、イギリスに滞在しました。

●10/16~10/24
Haco - レジデンス制作 (個展) & 参加公演
・フィールドレコーディング&サウンドインスタレーションの制作
Mobile Radioのラジオ・パフォーマンスで共演

F.O.N. Festival(10/23-24)
場所:The Canteen Media and Arts Centre (Barrow-in-Furness, カンブリア)

Full of Noises
出演アーティスト:Faust, Pram, Haco, Richard Youngs, Mobile Radio,
Susan Matthews, Black Carrot, Mark Pilkington, Good Noises Bad Noises, 他



Full of Noisesは、エクスペリメンタル・ミュージックとサウンドアートのフェスティバルとして発足されました。主催は非営利団体のOctopusで、作曲家アンドリュー・ディーキン、マルチアーティストのジョン・ホール、グレン・ボウルター、ファーン・オックスレイ、プロモーターのアレン・オックスレイという面々。コンサート&ヴィジュアル・アートのイベント企画やワークショップなどの教育的なプログラムにも力を注いでいます。

レジデンス・プログラムとして、Mobile Radioのクヌート・アウフェルマン (from ドイツ) とサラ・ワシントン (from イングランド)、 スーザン・マシュー (from ウェールズ)、Haco (from 神戸) の4名が招かれ、バロー周辺で影響を受けた経験をもとに新しい作品、もしくは交流のなかからコラボレーションを生みだす目的の6日間。
Mobile Radioは23日/24日と実験音楽のラジオ・ショーを制作/ロンドンのレゾナンスFMにて放送。
スーザン・マシューは映像作家のパートナーとのコラボレーションを先行開始。会場のディチューンなピアノとエレクトロスの共演、ハルモニウムでMobile Radioショーに参加。
わたしはバローをよく知るため歩きまわりたかったので、フィールドレコーディングを前乗りで開始。会場でサウンドインスタレーション作品の制作。Mobile Radioのショーでコンタクトマイクを使った演奏。

アットホームなF.O.Nのメンバーたちに助けられながら、とても楽しく充実した一週間を過ごしました。会場では、アーティストとスタッフのために毎日すばらしい料理のまかないが有ったおかげで、エネルギーをつけて制作に打ち込めました。


canteen.artcenter.jpg   big.fon.jpg   evening.mail.coverphoto.jpg

左:会場The Canteen Media & Arts Centre。1882年の建築物を再々リニュアルにより利用されている。
中:どでかいFONの垂れ幕。ジョンとグレンの手作り。
右:地元Evening Mail紙の表紙になったF.O.N.の全スタッフとレジデンス・アーティストたち。


Andrew.city.jpg   resco.supermarket.jpg   fireplace.jpg

左:まず街中を歩きもってフィールドレコーディングを始めました。雨が非常に多く、風も強いこの地方。野外録音にはかなり不利な要素です。
中:音を探しながら街の見物。イヤープラグ・マイクならさりげなくスーパーマーケットでも隠し録り。
右:トラディショナルな囲炉裏 (いろり) の火音を接近して録ってみました。


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左:会場通りから街の中心部へと結ぶ橋。
中:橋の向こうに見えるのはDAEシステム社の巨大造船所。国防産業として原子力潜水艦の生産は随一。1人で橋の鉄柵の固体振動をピエゾ・マイクで録音している最中に、「What are you doing here?」と警備警察に呼び止められ職務質問を受けた。もし英語がぜんぜん話せなかったら、IDのパスポートを携帯していなかったら、面倒なことになっていたかもしれません。
右:人工的に作られたバロー島の港付近を今度はグレンと歩いて固体振動の録音を続行。戦艦が日常的に目に入る。このあたりで女性警官に再び職務質問をされた。機密情報の地区であること、テロ対策などにより始終パトロール網を張りめぐらせているのです。翌日、向かい隣りのDAEシステム本社からF.O.N.に呼び出しの連絡があり、陳謝が述べられたので、わたしたちのやっている事に関しては一応の理解を示しているようでした。わたしにとっては初めての経験だったけど「ここではよくある事なのでべつに驚かないよ」とグレンたちは言っていました。


dock.museum1.jpg   dock.museum.siren.jpg   dock.museum2.jpg

左:バロー地方の歴史が詰まっているドック美術館の資料室を訪れました。
中:第2次世界大戦中に使用された手動サイレン。今でもびっくりするほど音が大きい。
右:学芸員が古式ベルを私のために鳴らしてくださった。サラはモールス電信機、送信機などをリサーチ。


before.installation.jpg   installation1.jpg   installation2.jpg

左:採集音でインスタレーション作品を構成。例の橋上で録音した鉄柵の固体振動はじつに美しい持続音で、車が通るたびに波打つような揺らぎをかもしだしていました。各30分 (空白部分を含む) で3種類のCDを作成。6台の小型スピーカーを床の角と天井近くに設置。
中:メインホールから離れた地下の小さな部屋を選びました。ささやかな、初個展「Barrow Vibrations」
右:地下の機材保管室に眠っていたハモンド・オルガンを設置。ギシギシ鳴る椅子を探して置きました。


closeup.hamond.jpg   footpedals.jpg   ckeck.haco.jpg


左:流れているスピーカーの音とオーディエンスとのコラボレーションを試みました。
中:「Please sit down and play the foot pedals. (座って、フットペダルを演奏してください)」のサインが壁に貼ってある。フットペダルの音は予めセッティング済み。ゆっくりとオルタネートする低音は偶然にも、「これって、潜水艦の警告音にそっくりなんだよ」とアンドリュー教授に驚き顔で言われました。オルガンには、会場近くのチャリティー・ショップで入手したレース布を被せたので、鍵盤部分は透けて見えるけど触れることはできません。椅子にはコンタクト・マイクが取り付けられ、座ると軋む音が拡大されます。
右:音と音の間に空白をつくり、聴くことを重視しながら、鑑賞者自身も作品の一部になるように願いました。バローにまつわる音作品。6日間という限られた日程で仕上げられたのは、スタッフのご協力あってならではのことです。多謝。

(つづく)
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HACO
歌手作曲家、プロデューサー、サウンドアーティストとして精力的に活動中。
元アフターディナー、ホアヒオ、ヴューマスターズ(現音採集観察学会)を主宰。
隔月刊ニュースレター配信中。

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