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brisben airport.jpg10月17日の夜便で関空を発ち、翌朝7時にブリスベン空港に到着。まずここで入国手続きをせねばなりません。大勢の日本人観光客を含む長蛇の列に並び、入国審査を抜けたら手荷物をベルトコンベヤーからピックアップ。オーストラリアは生態系を保護するため食品の持ち込み禁止物が非常に多い。そのため税関・検閲には神経を使います。もし該当する所持品があればあらかじめ放棄するように、ゴミ箱がどんと設置されている。まあわたしの鞄の中身には、ビタミン剤やのど飴くらいしか口に入れるものはなかったので、とくに申告するものはなさそう。で、軽くクリアできました。そしてまた、目的地メルボルンに向かうため国内線のチェックインをして、空港ターミナルまで連絡する電車に乗り込みます。ブリスベンに降りたってからもう2時間弱も経っていた。メルボルン行きの便を一本遅らせて予約したのは大正解でした。ほっ。

メルボルン空港では、2日間お世話になるフィリップ・サマーティス教授の奥さん、マデリーンが車で出迎えてくれました。本職はフィットネス・ジムのトレーナーだそうで快活で頼もしい女性です。フィリップはテープミュージックやアナログシンセから始まりサウンドアートの分野で教鞭をとっている電子音楽家。作品からはシリアスなイメージがあったのですが、会ってみるととても気さくで暖かい人柄でした。ラジオ・インタビューはキャンセルになったとのことで、今日はオフ。サマーティス宅で夕食後「せっかくオーストラリアに来たんだから動物を見なくちゃ」とマデリーンが言い出しました。そんなわけで、夜の公園に3人で出かけることに。いくつもの木から下りてきて2足立ちになっているポッサムを発見!灰色の毛に大きなしっぽの小型有袋類で猫ぐらいの体長。やはり夜行性。パンをちぎって手を差しのべると、近くまで寄ってきて、まず口でキャッチし、リスみたいに両手でつかんで食べ始めます。目がくりくり丸くてとてもかわいらしい仕草をする。ポッサムは食いしん坊のよう。オーストラリア体験の土産話その1でした。

10月19日、昼11時にウエスト・スペース・ギャラリーに楽器機材を搬入。ギグの企画からPAの調達までぜんぶフィリップが手配してくださったようです。このギャラリーでは中村としまるさんなどJapaインプロ系のミュージシャンがこれまでに公演し、昨年は角田俊也さんが招かれ個展をされています。「こちらがPAを設置する間に市内見物でもしてきたらどう、今晩のコンサートのことは心配なしさ」とフィリップ。わたしはお言葉に甘えて、街なかをぶらつくことにしました。メルボルンは英国ビクトリア様式の建物も残るなか、モダンな建築物もごちゃまぜの街並みがおもしろい。そして多国から集まってきた学生がたむろしている。市内には美術館やギャラリーもあちこちに有り、入場無料のところが多いそうです。学生を始め市民や観光客にとってもオープンで恵まれた環境がある。ツーリスト・インフォメーションの角隣にある映像アート・センターACMIにさっそくわたしは足をはこびました。話題になっているWhite Noiseという国際ヴィジュアルアート展を観るために。日本からは池田亮二氏や木本圭子氏も出展。聞くところに寄ると、このインスタレーションに賛否両論あるようだけれど、わたしは観光気分で十分楽しめました。多少は物足りない部分もありましたが、木本作品などは前々からマイ・フェイバリットだったし、インターネットのオンラインで直接いじれるプログラムの作品群もあって、そこでけっこう時間を費やしました。

さて、再びウエスト・スペース・ギャラリーに3時に戻り、サウンドとヴィデオ・カメラの映像フレームを入念にチェックし終えました。開演の7時前になると、どやどやっと人々が集まってきた。「小さなギャラリースペースだけど、ここまで客が入ったことは今までにないよ、記録だ」とフィリップは嬉しい驚きの表情。「Microphonics concert_01」と題されたこのイベントの始まり。若手チェロ奏者のアンシア・キャディーが壁を隔てて、わずかな擦音や打音を中心に鳴らし、壁の向こうのフィリップ・サマーティスがアナログシンセを含むエレクトロニクスでコラボレーション。非常に繊細で耳がとぎすまされるような演奏。またお客さんが静まりかえって集中力がすごいと感じる。次に、Candlesnufferのサイド・ギターにミュージックコンクレートのソロ。これまた質の高い微妙な即興でオーディエンスを惹きつけます。わたしはだんだんと緊張してきた。白い台に置かれたラップトップ、ギャラリーの白壁にカメラでねらった映像が映しだされる。ステレオ・バグスコープの"起動"。最初にピックアップをつかむ時、手がふるえているのに気がつきました。人々の熱い視線が注がれている。だんだんと進めていくうち緊張もほぐれてクールな気分になり、無事、"終了"。満場の観客やフィリップを始め共演者から大拍手をいただきました。アートプロデューサーのジェイン・ハイドソンさんも見に来てくれて、すっかりご満悦。オーストラリアでの初公演が盛況で、さいさきに良いものを感じました。
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HACO
歌手作曲家、プロデューサー、サウンドアーティストとして精力的に活動中。
元アフターディナー、ホアヒオ、ヴューマスターズ(現音採集観察学会)を主宰。
隔月刊ニュースレター配信中。

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