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5月29日、どんよりと曇っている。出がけの大阪の気温にくらべて、パリはずいぶんと肌寒く、室内でもウインドブレーカーをはおってしまう。午前中のうちにアパートの周辺を散策。近くのストリート沿いにはパン屋や八百屋や肉市場、二種類のスーパーマーケットも道路づたいに並んでいて便利。Monoplixはパリのいたるところにあるチェーン店で品揃えがいいが、生鮮食品などの値段は若干高めだそう。手軽に自炊できる食材を買ってひとまずアパートに戻る。

ずいぶん狭いキッチンだけれど、電気コンロと冷蔵庫と流し台がコンパクトに揃っている。さっそく紙パックの野菜スープを温めて飲んでみる。セロリ、スクワッシュ、ニンジンなどがミックスされてどろっと濃厚なので、やや水で薄めるとけっこう美味しい。日本ではこんな野菜本来の味がするスープは普通のスーパーではお目にかかれないなぁ。これ、時差ぼけや身体の疲れを調節するのにはもってこいでした。

食後にシャワーを浴びてから、近所でインターネットが使用できるサービス店に出かける。カフェというより、パテーションをしたデスクにコンピュータが置いてあるだけ。支払いカウンターは銭湯の番台みたい。こういう洒落ていないサイバースポットはどんどん増えているらしい。最低15分1.5ユーロと安いのですが、webメールをチェックできても日本語フォントで返事できないのはいまひとつ魅力にかける。
わがアパートの部屋は電話回線を閉じてしまっているので、ラップトップの内蔵モデムでダイヤルアップも無理なのよね。ここフランスでも、独り暮らしの若者はケータイしか使わなくなっている傾向にあるようです。

今回、旅行鞄の中にもう一つ薄手のキャリングケースを入れてきたんです。鞄のなかに鞄、まるで入れ子ように。宿泊するアパートが7階だと聞いていたので、楽器をかついでの上り下りがたいへんだと、苦肉の策。おかげで衣類はあまり持ってこれなかった。夕方、機材を入れた小ケースを転がしリハの場所へ向かう。やっぱり地下鉄の移動にはこれが軽くて正解でした。

切符売り場でもらえるメトロの路線図は、ちっちゃく折りたためてとてもハンディーだから、旅行者だけじゃなくパリっこも大いに利用しているようです。パリ市内にはメトロが網の目のように走っているので、方向音痴のわたしでも線を乗り換えればどこにでも行ける。でも、あれれ、12番線からピガールという駅で乗り換えようとしたら路上に出てしまい、きょろきょろ。人々の行動を観察するに、2番線の地下入り口までおりて、また自動改札に乗車済みの切符を差し込まなければいけないんだ!ということが判明。改修工事中の駅もあったりと、メトロも少しずつと変化しているようです。


studio.JPG最近、若者が集まっているらしいメニルモンタン駅近くのスタジオに到着。クラウディアともう一人の共演者ミッシェル・ギイエが待っていました。彼とは昨年『オペラ・シャドウ』という作品でもご一緒しました。このトリオで6月6日にパリでコンサートをする。そのリハ初日なんですが、もろ、レンタル練習スタジオではありませんか。なんでも、国立ダンス・センターのスタジオを予約していたのだが、そこでは音だしができないのではないか?とスタッフが慌てふためき、急遽このスタジオを借りたそうです。マイクはへこんでいるし、スピーカーはへたれているし、受付の兄ちゃんは暇つぶしにギターを弾いているし、なんだか大阪でも見慣れている光景ではないですか。ロック的なものってユニバーサルにちがいありません(笑)。

で、リハの方は、とりあえずスピーカーから音が鳴っているよというかんじ。ミッシェルのサンプルはあいかわらず暗いトーンの持続音が多く、他の音をマスクしてしまいがち。クラウディアは何も曲を用意していなくて、即興でつぶやいたり、リーディングをして可能性をさぐっている。わたしはコンピュータで音ネタをだしながら、「パリにまできて、この調子じゃなぁ、、」と頭のなかでぼやいていました。
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HACO
歌手作曲家、プロデューサー、サウンドアーティストとして精力的に活動中。
元アフターディナー、ホアヒオ、ヴューマスターズ(現音採集観察学会)を主宰。
隔月刊ニュースレター配信中。

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