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今月リリースされたトリオ・アルバム『LUNCH IN NISHINOMIYA』をご紹介。カナダのモントリオールにおける即興音楽シーンを代表し、"bruitiste(騒音的)"ともよばれる斬新な手法で知られるサンプラー奏者のディアン・ラブロッスとターンテーブル奏者のマルタン・テトロー。彼らが来日した際に西宮の拙宅スタジオに招き、3人で即興的にレコーディングしたのは2003年の冬。その後、カナダと日本でメール交換しながら最終的な構成やミックスを完成させていきました。マルタンの改造ターテーブルには3本のアームが取りつけられ、モーターと針とプリペアードした盤の表面だけで多様な音のバリエーションを作り出す。擦音、接触音、振動音、フィードバックなどをエフェクトします。彼は美術畑からきた人でものの見方がユニークだし、だじゃれのセンスも抜群。ディアンは前衛女性バンド「Justine」のリーダーでした。1991年のカナダ、ヴィクトリアヴィル・フェスティバルで初めて彼女たちの演奏に触れ、世の中にこんなオリジナルな音楽があるんだと感心しきり。そして、90年代末に再びディアンとマルタンのデュオ演奏をヨーロッパの実験音楽祭で耳にしたわたしは、その音楽性の変容ぶりに驚き、また刺激を受けたものでした。ディアンのデジタル・サンプリングは、<引用>を避けた無意識的な音づかいが特徴になっていた。実際、彼らはヨーロッパや日本のアーティストにも多大な影響を与え続けています。お互いなんども海外で顔を合わすうちに仲良くなり、2002年にはモントリオールで初共演しました。わたしはマルタンのアパートに一週間も滞在させてもらったうえ、いっしょに山に登ったり、お料理したり、めちゃくちゃエンジョイしたのでした。だからこのレコーディングは友人との再会です。遊びながらさくさくと録音してみたら、思いのほか良いものができてしまった奇跡的なアルバムです。もちろんディアンとマルタンは即興の達人ですが、レコーディングならではのやりかたを察知していた。あっ、肝心のわたしは何をしていたかというと、ここでは歌っておらず、唇やカズーによる息の漏れ音、エッグカッター、串、綿棒、ブラシ、輪ゴム、指先などの微細な音をコンタクトマイクで拾って増幅しています。またコンパクトなオシレーターも手動で演奏している。これは素材のディティールがきめ細やかに顕れた、デリケートなエレクトロアコースティック作品なのです。そして、8曲のタイトルはぜんぶ食事を連想させるものになった。一日のうちに、わたしはパスタをふるまったり、昼食後にはいっしょに散歩して酒ミュージアムショップに行っておみやげを買ったり、なんて和んだランチ・レコーディングだったんでしょう! でもあとでミックスする時に聴きなおしたら、マルタンの変則ターンテーブルの驚るべきテクニックに気づかされ舌をまいた。ディアンの音選びの厳格さもじつに印象的。納得いくまで、最終ミックスは緻密な作業になりました。『Play this CD quietly!』と裏ジャケットの端っこに記されているのは、六畳スタジオで小さめの音量でモニターしていた私たちの演奏を再現したかったから。ヘッドフォンで聴いてみてもおもしろいんですよね。また西宮在住のMGX. Factoryさんのジャケット・デザインも、3人のお気に入りなんですよ。
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(スナップ写真は左:メスカリーナ・スタジオの二人、右:散歩中にてディアンが撮影)
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HACO
歌手作曲家、プロデューサー、サウンドアーティストとして精力的に活動中。
元アフターディナー、ホアヒオ、ヴューマスターズ(現音採集観察学会)を主宰。
隔月刊ニュースレター配信中。

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