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2月に入ってから、西宮メスカリーナスタジオでは並行して数種のプロジェクトが進行中です。
その様子をざっとレポートしてみます。

terakoya.jpg2月2日、来たる3/11の神戸ライヴ「Terakoya DJ Show」のための打ち合わせ&リハーサルをYuko Nexus6さんとする。Terakoyaは新しいテクノロジーをむだ遣いする女性ユニットで、この春に本格的デビューをします。第一弾はSkypeにヒントを得たシステムも取り入れてみます。Skypeはご存知のとおり、無料インターネット・テレフォニーと呼ばれるソフトで、ユーザー同士ならパソコンで世界中どこでも通話ができます。ただ、ノートパソコンの内蔵マイクとスピーカーを使っていると、相手の声と戻ってくる自分の声とのあいだにフィードバック(円環)が起こってしまい、非常に会話がしづらいのです。ですから、ヘッドフォンやヘッドセットのマイクを使用するユーザーがほとんどです。しかし、わたしたちTerakoyaとしては、この不具合に目をつけました。返ってくる互いの声に遅延がかかり、強力なゲートがかかるため、切れ切れのDSPサウンドに聞こえるのです。比喩にするなら、活動停止中のドイツ音響系レーベル、ミル・プラトーのCDのテイストを思い浮かばせます。メスカリーナスタジオの無線ネット環境はこのためのリハに万全です。快適快適。吸い込まれる声、膨張する声などSkypeとノートパソコンを楽器として遊びまくりました。ついでに新曲をちょっと録音してみたり。かつMax/MSPのパッチのワンポイント講義もYukoセンセイにしていただくという、充実ぶり。だがさて、会場となるビッグアップルのネット環境の状況やいかに、2日間かけて現地でチェックを重ねましたが、いくつかの問題が浮上してきました。しかし対策はまだ残されていそうです。またDJ Showでは、めずらしい海外ツアーの映像や環境音も披露しながら、対話や演奏をはさみながら進行しますので、インターネットがすべてではありません。どうぞこの実験の現場を目撃しにやって来てください!(写真:Yukoさん撮影のTerakoyaセット)

●2006年3月11日(土) 開場:6:30PM 開演:7:30PM
〜 FePro Night!〜「この女(ひと)を見よ! Yuko Nexus6さんの巻」

Terakoya DJ Show(ワールドプレミア)!!
演奏&トーク:Yuko Nexus6 (laptop & voice)
合いの手:Haco (laptop & voice)

会場:神戸Big Apple


2月4日〜5日、シアトル在住のサウンドアーティストでレーベル"and/OAR"のオーナーDale Lloydが企画しているコンピレーションの委嘱作品を制作しました。これは、小津安二郎監督の映画の中にでてくる「枕ショット(PILLOW SHOTS)」を題材にしたもの。20人の音楽家が好きな枕ショット(煙突 やガスタンク、物干の洗濯物など、小津作品の物語の合間に挿入される静止画像が置かれている仮設サイトで参加アーティスト名も閲覧できます:http://www.and-oar.org/ozu_pillow_page1.html)を選び、フィールドレコーディングの要素を含んだ作品を提出します。今回わたしの作品は、バイノーラル・マイクで素材録音をして、すこしグリッチがかかったDSPものに仕上がりました。タイトルは「Blind」です。生の音とプロセッシングした構成音とがありますが、室内の事務作業の音と窓ガラスを経て透過した戸外の周辺音が空間ミックスされて、ヘッドフォンで聴くとさらに奇妙な体験ができます。このコンピレーションは2枚組とのことですが、選出されている他のアーティスト達(いくつかの友人)の作品やアプローチにも興味をそそられ、トータルな仕上がりがとても楽しみなのです。

2月6日、ロンドンのDavid ToopからコラボレーションのためのCDRが届きました。イギリスの実験音楽界になくてはならない人物で、ライター、キュレーター、音楽評論家としても著名なトゥープ氏ですが、わたしの歌モノと音響作品の双方をいち早く評価してくださった方でもあります。昨年よりレコーディング参加のオファーをいただいており嬉しいかぎりです。彼は目下ソロアルバムを制作中で、デヴィッド・シルヴィアンのレーベルSamadhisoundからCDがリリースされる予定だそうです。 さっそく聴いてみたところ、エレクトロアコースティックの作品で4曲はすでに完成間近という段階。「間」のような緊張感とたゆたいを感じさせる電子音響は、どこか50年代の電子音楽から2006年に到るまでの脈々と流れるエッセンスを感じさせます。きっと彼が聴いてきた音の歴史が個人的に淘汰されたらこうなるのではないかしら、と思わせるものでした。わたしはそのうち2曲に微かな声や電磁波の音を加えて、コラボレーションをする計画をたてました。

2月7日、メスカリーナ・スタジオにて、コントラバス奏者の稲田誠さんとレコーディングをしました。今年から着手しているわたしのソロアルバム『Riska(仮タイトル)』のために、新たに二曲コンバスを弾いていただきます。稲田さんはソロやAAP(=RADAR)、BRAZIL、AURORA、BISCO、Suspiria、xoexabといったバンド活動に加えて、セッションでも活躍中で、棚レコードというレーベルも主宰している多忙なミュージシャン。前回の録音ではジャージーなグルーヴのあるウッドベースをほぼ一発録りで入れてくれました。今日の一曲目は音響的な要素もあるフォークソングで、わたしの弾き語りしたストリングスっぽいキーボードの上に弓のベースが乗っかると、すごいリッチな倍音がでてオーケストラのような響きに聴こえるから不思議です。コンバスって強力な楽器なんですね。わたしはその物理的な音の重なりに身も心も振るわされました。もう一曲は、4本のギターで演奏した循環コードのポップソングで、ライヴ録音の素材のうえからピッチカートや弓やいろんなパターンを演奏してもらいました。彼はかっこいいフレーズを次々に出してきます。楽器とこの木造スタジオの相性が良いらしく、とてもいい響きが生まれていました。最後に、稲田さんが作ったコラボレーションの曲ネタまで録音させてもらいました。なんか眼の前がずんずん開けていくかんじ。一人で煮詰まっていた状況が打破できるのは、こういう優れた演奏家との共同作業なのだとつくづく感じました。喜んでばかりで、稲田さんのレコーディング写真を撮影するのを忘れてしまったのが残念。また次の機会に!稲田さん、こんど一緒に飲みましょう!
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HACO
歌手作曲家、プロデューサー、サウンドアーティストとして精力的に活動中。
元アフターディナー、ホアヒオ、ヴューマスターズ(現音採集観察学会)を主宰。
隔月刊ニュースレター配信中。

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